医療のプロのノウハウがベースにあるからこそ
このように医療分野にICTを活用しようとする動き、すなわち「ヘルステック」とも言われる動きは活発になってきており、特にベンチャー企業の取り組みが目立つ。自らもベンチャー企業を率いる立場から、ベンチャーに期待することとして、武藤氏は「スピード・イノベーション・コラボレーション」の3つを挙げた。
ただし、単に製品ドリブンであったり、企業が思い描く理想を押しつけたりするようなサービスは上手く行かない可能性が高いとも指摘し、次のように結んだ。
「ヘルステックは、医療のプロフェッショナルが長年培ってきたノウハウがベースにあるからこそ有効なもの。それをテクノロジー本位で根本的に変えようとするのは、むしろおこがましいのではないかと私は思う。
やはり絶対的に必要なのは、現場で必要とされるものだ。理想形から提示して、それが実現すれば現場の人たちの考え方も変わるだろうといったアイデアもあるが、なかなか難しい。いわゆるデザイン思考が最も生きる分野がヘルステックなのだ」。