日経デジタルヘルスは2017年5月22日、東京都内で「デジタルヘルスベンチャー祭り2」を開催した。15社のベンチャーによるピッチなどのプログラムに先立ち、医療法人社団鉄祐会 理事長の武藤真祐氏が基調講演に登壇。「ICTを使った次世代医療の方向性とベンチャーの役割」と題して講演した。

基調講演に登壇した武藤氏
基調講演に登壇した武藤氏
[画像のクリックで拡大表示]

 武藤氏は現在、医師として在宅医療の現場に立ち続ける傍ら、厚生労働省 情報政策参与や内閣官房IT総合戦略本部 新戦略推進専門調査会 医療・健康分科会 構成員などを務め、未来投資会議やさまざまな政府の委員会で医療のICT化推進を提案している。また、デジタルヘルス分野のベンチャー企業であるインテグリティ・ヘルスケアの代表取締役会長も務める。

 武藤氏はまず、「医療は典型的な労働集約型産業」だと説いた。同時に、高齢化に伴い医療の需要はますます高まっており、医療コストが増加している現状についても触れた。こうした状況を踏まえ同氏は、「医療資源が急激に増えるわけではない。これからの時代は持続可能な医療インフラの再構築が求められる」と指摘した。

医療資源が限られる中、今後は“持続可能な医療”が重要になると指摘
医療資源が限られる中、今後は“持続可能な医療”が重要になると指摘
[画像のクリックで拡大表示]

 持続可能な医療の実現に必要なこととして武藤氏が挙げたのは3つ。すなわち、(1)時間的・空間的制約からの解放、(2)医療従事者の役割分担の再構成、(3)患者や患者家族の積極的な医療への参画、である。

 これらの実現に向けた鍵を握るのは、ICTの利活用だ。例えば、武藤氏は(1)に関しては遠隔の画像診断・オンライン診療やオンライン服薬指導、医療従事者のマッチングシステムなどが該当するとした。(2)に関しては医師の負担を分散させるためのAIの発展、(3)についてはITを生かした学習やモニタリングなどを挙げた。