「対面診療とオンラインでの遠隔診療を組み合わせた新しい医療を次の診療報酬改定でしっかり評価する」――。

会議で発言する安倍首相(出典:首相官邸ホームページ)
会議で発言する安倍首相(出典:首相官邸ホームページ)
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 安倍晋三首相は、2017年4月14日の第7回未来投資会議においてこう明言した。既に2016年11月に開催された第2回未来投資会議の時点で、遠隔診療やセンサー、ロボットの積極的な活用推進の意向を明らかにしていたが、今回は「次の診療報酬改定(2018年度診療報酬改定)」という制度改定時期を含めて一歩踏み込んだ発言となった(関連記事:安倍首相も言及した「遠隔診療」、推進政策は加速するか)

 今回の議題は、「新たな医療・介護・予防システムの構築について」。安倍首相は、医療・介護におけるICTやデータの活用は、「長い間、思ったようには進んでこなかった。しかし、技術が飛躍的に進歩したことで、いよいよ現場で実現し始めている」とコメント。団塊の世代が75歳以上になる2025年の山場を乗り越えるために、新しい技術を生活に取り入れて健康寿命の延伸を考えないと財政的にも厳しくなると強調した。

「服薬指導も遠隔での実施を可能とすべき」

 今回の未来投資会議では、医療社団法人鉄祐会理事長の武藤真祐氏が、次世代の在宅医療のあり方として、ICTを活用した遠隔医療サービスの有用性と普及に向けた提言を行った。それによると、患者の症状に「気づき」、それが医師に正確に「伝わり」、選択された治療方針が「続けられる」ことが重要。「これらは対面診療だけでは十分に機能せず、ICTを活用することが有効である」としている。

 具体的には、(1)バイタルサインや問診データを取得し、異常を察知する、(2)取得したデータをダッシュボードで示し、医師の判断をサポートする、(3)オンラインでフォローしていくことにより治療からの脱落を回避する、という3つの要素を挙げている。

 また、未来投資会議 構造改革徹底推進会合会長の翁百合氏は、「かかりつけ医を中心としたICTを活用した健康管理・医療」として提言。外来の対面診療や訪問診療に加え、オンラインでデータを取得しながら遠隔でのモニタリングや指導を組み合わせる方向性を打ち出し、「2018年度診療報酬改定で、適切な報酬が認められるよう位置付けるべき。服薬指導も遠隔での実施を可能とすべき」と提言した。

 厚生労働省がまとめた資料では、遠隔診療を対面診療と適切に組み合わせて提供することで、かかりつけ医による日常的な健康指導や疾病管理に向上に期待し、慢性疾患の重症化予防などの領域で活用することとしている。2018年度診療報酬改定の評価例として、「オンライン診察を組み合わせた糖尿病等の生活習慣病患者の効果的な指導・管理」「血圧、血糖等の遠隔モニタリングを活用した、早期の重症化予防」の2点を挙げている。