85%が何らか疾病で遠隔診療を受けてみたいと考え、慢性期疾患の未治療患者の過半数が予防的な相談や症状が安定している場合に遠隔診療を利用したい――。日本医療政策機構が行った医療ICTに関する世論調査では、利用者が遠隔診療を肯定的に捉えている姿が浮かび上がった。

 調査は、2016年11~12月にインターネットで実施。「遠隔診療」「健康・医療データの所有権・管理」「人工知能の臨床応用」に関して、調査会社のモニターである全国の男女1191人を対象に行った。回答者の年代層は39歳以下が35%、40~49歳が25%、50~59歳が20%、60歳以上が24%である。

 まず、遠隔診療に対する関心について、どのような疾病であればオンラインでの医師の診察を自宅で受けてみたいかを聞いた。これに対しては、「健康に関する予防的相談」「脳梗塞などで退院した後の在宅ケア」「花粉症や糖尿病などで症状が安定していて、入院に至らない病気」などが上位を占め(重複回答)、全体の85%が遠隔診療を利用してみたいと回答した(図1)。

図1 遠隔診療に関する関心、利用したい疾患(日本医療政策機構の資料を基に本誌が作成、以下同)
図1 遠隔診療に関する関心、利用したい疾患(日本医療政策機構の資料を基に本誌が作成、以下同)
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 回答者を、生活習慣病など慢性疾患を指摘されたことがない健康体群、指摘されたが治療を始めていない未治療群、治療中の治療群、治療を始めたが何らかの理由で中断した治療中断群に分けると、それぞれ約300人ずつ。このうち未治療群の5割以上が遠隔診療に前向きで、58%が遠隔診療を受けてみたい理由として「通院の手間」を挙げた。

 日本医療政策機構は「生活習慣病の未治療群では、治療開始を妨げている『通院の手間』などの要因を遠隔診療が取り除くことができ、治療を始めるきっかけとなる可能性がある」と分析した。