お礼の品でなく社会課題解決のために

 ふるさと納税は、好きな自治体を選んで寄付をすると、税金の控除が受けられたり、お礼の品がもらえたりする制度。ふるさと納税に関する総合サイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクによれば、ここへ来て、自治体が主導するクラウドファンディング(GCF:Government Crowdfunding)にふるさと納税を活用する動きが出てきた。自治体がNPO法人などと組んで地域の課題解決に取り組み、それに賛同する人からふるさと納税を活用して寄付金を募るというものだ。

 ふるさと納税を活用したGCFに力を入れる自治体の1つが、日本IDDMネットワークが本部を置く佐賀県である。同県と日本IDDMネットワーク、トラストバンクの3者が組んだ今回のプロジェクトは、1型糖尿病の治療法確立を支援し「2025年までに1型糖尿病を治る病気にする」(日本IDDMネットワークの岩永氏)ことを目指すもの。2014年度に始動し、2016年度末までに計2億円近くの寄付金が集まった。そのおよそ9割が「(患者)家族ではない人からの寄付」(同氏)という。

1型糖尿病患者の女の子とその家族も登壇した
1型糖尿病患者の女の子とその家族も登壇した
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 これらの寄付金の多くを投じているのが「バイオ人工膵島移植プロジェクト」と呼ぶ研究プロジェクト。ブタから取り出した膵島を1型糖尿病患者に移植し、体内でインスリンを分泌できるようにすることで、1型糖尿病を根治することを目指すものだ。福岡大学と国立国際医療研究センター、京都府立大学などが共同で取り組んでいる。