「これから介護事業で生き残るためには、複数の事業を展開することが鍵となる。経営のリスク分散を図り、各事業の組み合わせで相乗効果を狙うのが好ましい」――。「ヘルスケア&スポーツ 街づくりEXPO 2017」(2017年3月8~10日、主催:日本経済新聞社、日経BP社)のオープンシアターに登壇したエス・エム・エス 介護経営支援事業部 経営支援グループの星野公輔氏は、介護事業者の今後の生き残り策をこう提案した。

2018年度の同時改定で…

エス・エム・エス 介護経営支援事業部 経営支援グループの星野公輔氏
エス・エム・エス 介護経営支援事業部 経営支援グループの星野公輔氏
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 星野氏はまず、介護事業の倒産件数が2012年以降増加していることを指摘。特に、2015年度の介護報酬改定を受けて介護事業者の報酬が従来よりも下がったことが、「事業の悪化を加速させたのではないか」と同氏は見る。

 一方で、大手企業が介護事業へ参入するケースが増えていることにも触れた。この背景には、「介護の業界自体はマーケットが大きくなっているため、既存事業に加えて介護事業を手掛ける流れが浸透している」(星野氏)ことがあるという。

 次に、2018年度の診療報酬・介護報酬同時改定を見据えた業界の動向を分析した。同改定では自立支援が重視される方向で、医療ニーズの高い人が在宅でのケアを受けるようになると予測される。これまでは軽度の支援を請け負う事業が多かったが、「今後、介護保険を基盤とする事業を行うのであれば、重度の支援を行えるかどうかが鍵を握る」(星野氏)。

 さらに、2018年度の改定では、事業者の報酬は下がることが予想されるという。そこで星野氏が推奨するのが、冒頭の複数事業の展開だ。