恒例となった「Digital Health Meetup」(主催:グリーベンチャーズ)でのベンチャーピッチ。2017年2月15日に開催された「Digital Health Meetup Vol.7」では、ヘルスケアマーケット・ジャパン 代表取締役の坪井俊憲氏、サスメド 代表取締役の上野太郎氏、サイキンソー 代表取締役の沢井悠氏が登壇した。

ヘルスケアマーケット・ジャパン

 最初に登壇したヘルスケアマーケット・ジャパンは、訪問介護を対象とした人材マッチングサービス「ユアマネージャー」を展開。ヘルパーが高齢者の自宅に出向いて介護する訪問介護において、同社は特に「非常勤・パート」のヘルパーをターゲットに人材マッチングを実施している。

ヘルスケアマーケット・ジャパン 代表取締役の坪井俊憲氏
ヘルスケアマーケット・ジャパン 代表取締役の坪井俊憲氏
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 坪井氏はまず、訪問介護業界の仕組みを解説した。例えば横浜市の場合、訪問介護のニーズは徒歩10分圏内で1日に約100時間分もあるという。この現状を踏まえれば、ヘルパーは近所を回るだけで、十分な業務をこなすことが可能だ。

 しかし、ここで問題となるのが、実際に介護を望む人とヘルパーをマッチングする「訪問介護事業所」の存在である。現在の日本の制度では、介護保険法で指定された事業所のみがマッチングを行えるが、この事業所は各エリアで過密状態に陥っており、「大手コンビニエンスストアよりも密度が高い場所もある」と坪井氏は語る。

 このような状態では、たとえ近所の介護希望者が複数あっても、それぞれが異なる事業所で担当しているというケースが発生してしまう。そのため、ヘルパーは自分が所属する事業所の介護希望者しか受け持つことができない。結果として業界自体が人手不足でありながら「介護時間よりも移動時間や待ち時間が多く発生するという課題が出ている」(坪井氏)わけだ。

 この課題を解決するため、ユアマネージャーでは複数の事業所を横断的にマッチングできる仕組みを導入した。ヘルパーはスマホアプリから複数の事業所の介護案件を確認でき、自分の予定に合った案件を選ぶことが可能だ。これにより、実際の介護のニーズとヘルパーのニーズをより効率的にマッチングできるようになる。

 ビジネスモデルについては、ユアマネージャーを利用したヘルパーが売り上げを立てると、ヘルスケアマーケット・ジャパンに料金が発生する仕組み。完全従量課金制で金額は介護報酬の15%程度。訪問介護事業所の利益を確保しつつ、ヘルパーにはユアマネージャーを無料で提供する。また今後について坪井氏は、「市場のあらゆる求人情報と人をマッチングしていくような仕組みを作っていきたい」と抱負を語った。