ソーシャルネットワーキングサービス「mixi」やスマートフォンゲームアプリ「モンスターストライク(モンスト)」で知られるミクシィが2017年末、ヘルスケア事業への参入を表明した(関連記事1)。子会社のスマートヘルスを設立し、介護予防に軸足を置いた事業を展開する。

 参入の背景には、SNSやゲームアプリで培った“数千万人を動かすコミュニケーション設計力”がある――。スマートヘルス代表取締役(ミクシィ 取締役 スマートヘルス事業部)の荻野泰弘氏はそう打ち明ける。ミクシィと京都大学が2018年1月19日に開催した「第3回 デジタルヘルスシンポジウム」で、ヘルスケア事業への取り組みを語った(関連記事2)。

登壇した荻野泰弘氏
登壇した荻野泰弘氏
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 ミクシィは2004年に、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を開始。当時は、誰もが不安なくコミュニケーションに参加できるインターネットサービスは少なかった。「誰もが参加しやすい、柔らかく心地よいコミュニケーションの場を提供することがmixiの狙いだった」(荻野氏)。この狙いは当たり、3000万人以上の利用者を獲得。2013年から提供しているモンストも、みんなで集まってわいわい遊べるような感覚を盛り込むことで、4000万人を超える利用者を獲得した。

 一貫してミクシィが重視してきたのは、SNSやゲームという手段そのものではなく、誰もが参加したいと感じられるようなコミュニケーションの場をつくることだ。そして、日本がこれから迎える超高齢化社会では、「孤独」が高齢者の健康を脅かす最大の要因になると同社は考える。そこで、SNSやゲームアプリで培ったコミュニケーション設計力を、孤独解消を通じた健康づくりに生かしていく。

 「コミュニケーションを通じて健康を維持する。そんな世界観をつくりたいと考え、異業種だがヘルスケアへの参入を決めた」。荻野氏はそう語る。