サービスを導入する現場の期待は…

 記者会見には、今回のサービスを導入する日吉歯科診療所 理事長の熊谷崇氏が登壇した。同氏は、医療情報を見ればきちんと治療が行われたか確認できることから「医師の治療が患者に評価されることで歯科医療の質を高められれば」と期待を述べた。

患者はスマートフォンなどを使って自身の医療情報を閲覧できる
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歯科衛生士は患者の自宅での歯みがきデータを基に指導する
歯科衛生士は患者の自宅での歯みがきデータを基に指導する
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 口腔の健康は全身の健康に大きな影響を与えることが分かっている。例えば、成人の約8割の人が患っているとされる歯周病は、「骨粗鬆症や動脈硬化、糖尿病と関連がある」(サンスターグループ オーラルケアカンパニー マーケティング部 統括部長の淡島史浩氏)。今回のサービスは、「口腔と全身の健康状態の関係についてエビデンスを構築することにも活用できるのではないか」と熊谷氏は見る。

 記者会見で熊谷氏は、今の日本の歯科医療についても言及した。日本人の口腔状態の特徴としては、「若い時に治療した歯は何度も治療する傾向にある。虫歯や歯周病になると、“削って詰めて”を繰り返す」と同氏は説明する。状態が悪くなってから歯科医院に行くことも特徴的で、定期的なメンテナンスに通う人は少ないため、「日本では後期高齢者の9割が入れ歯を利用する状況」と同氏は話す。

日本人の口腔状態
日本人の口腔状態
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定期的なメンテナンスによる効果
定期的なメンテナンスによる効果
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 これからは、「歯科衛生士による定期的な口腔ケアやメンテナンスを行い、必要があれば医師が治療を行う歯科医療を目指したい」と熊谷氏は話す。定期的にメンテナンスを行うことで歯を失いにくいことが分かっており、海外の研究では初診時の年齢が若いほど30年後の失歯数が少ないと示されているという。つまり、「継続的なメンテナンスなしでは口腔の健康を保つことが難しい」(同氏)というわけだ。