「ICT医療で日本は世界に勝てる可能性を秘めている。輸出産業の1つとして注目されれば」――。東京慈恵会医科大学 先端医療情報技術研究講座 准教授の高尾洋之氏はこう語る。

東京慈恵会医科大学 先端医療情報技術研究講座 准教授の高尾洋之氏
東京慈恵会医科大学 先端医療情報技術研究講座 准教授の高尾洋之氏
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 医療従事者向けにスマートフォンとフィーチャーフォンを計3600台導入し、院内にフリーWi-Fiを完備。そして、単体ソフトウエアとして保険適用第1弾となった医療関係者間のコミュニケーションアプリ「Join」の導入…。こうした取り組みをいち早く進め、ICT活用に積極的な姿勢を見せている東京慈恵会医科大学付属病院(関連記事)

 医療機関におけるICT活用は、セキュリティーなどさまざまな課題を理由に、決して進んでいる状況とはいえないが、東京慈恵会医科大学付属病院のスタンスは異なる。高尾氏は、「医療情報を扱う際のセキュリティーや費用対効果などさまざまな問題があるのは確かだが、既に時代がそれを追い越している。スマートフォン1つでさまざまなことができるようになった今、導入を前提に、そこで新たに生じる課題をいかに解決していくかが重要だ」と強調する。

 この東京慈恵会医科大学付属病院が、さらなるICTの積極活用に向けた取り組みを明らかにした。スマートフォンを活用した3つの新たなプロジェクトを、2016年12月13日に開催した記者会見で発表した。すなわち、(1)病院アプリ、(2)院内ナビゲーションシステム、(3)スマホ白衣、である。