心臓カテーテル検査レポートは、所見のテキストが中心である一般的な読影レポートと異なり、心臓内血管の部位ごとに、狭窄情報や血圧情報などを数値化して管理する。血管の情報をどの程度細分化して管理するか、あるいは血行動態をどのように管理するかなどは施設によって異なるという。また、血管の狭窄度を入力するフィールドに、前回の検査データを表示するかどうかなどといったニーズも施設や担当医によって異なる。「細かな要求に対して柔軟に対応可能なのがKada-Reportであり、FileMakerをベースにしている優位性だと思います」(山口氏)。

 同クリニックでは、心臓カテーテル室に設置した3台の専用端末と、エコー検査室に2台、CT検査室に1台配置した電子カルテ端末にFileMaker Proとレポーティングツールをインストールして、Kada-View/Kada-Reportを利用している。その他の診察室や相談室の電子カルテ端末では、Webブラウザ(IE)でレポート参照できるようにした。そのWeb閲覧を可能にしているのが、FileMaker WebDirect機能である。FileMaker社によると、同機能がベンダー製の医療ITシステムのパッケージ製品として公式採用されたのはKada-Reportが最初であり、華岡青洲記念 心臓血管クリニックが初めてのユーザーだという。

 「従来はPHPでコーディングするカスタムWebで実現していたので、FileMaker本体のプログラムを現場で修正したとき、Webサーバー側でも別途、修正作業が必要でした。WebDirectはボタン1つで自動的にHTMLがコーディングされるので、開発作業が効率化しました」(吉村氏)とFileMaker WebDirect機能の有用性を指摘する。一方、診療現場での使用感について山口氏は、「FileMaker Pro上で動作するカスタムアプリケーションの画面表示と比較して、ブラウザー上のFileMaker WebDirectは、全く違和感なく使えます」と述べる。