副次的な効果も…

 社内SNS導入の効果は、単に訪問看護師の業務負荷低減だけにとどまらなかったという。その一つが、コミュニケーションの向上である。特に、中野と足立の訪問看護ステーションは距離的に少し離れているが、お互いのステーション間の情報共有や連携も活発かつスムーズになったと前田氏は言う。

 加えて、「管理職の残業も1時間ほど減った」とケアプロの佐藤祐一郎氏(ケアプロ訪問看護ステーション東京 在宅医療事業部 総務室 室長)は語る。規模が大きい同社のステーションでは、管理職による看護師の業務管理にも大きな負荷がかかっていた。Talknoteの基本機能として備わっている「タスク管理」では、アプリ内でタスクを依頼・管理でき、優先度や完了状況がひと目で分かるようになっている。この機能の活用により、「管理業務が効率化した」(同氏)というわけだ。

ケアプロの前田氏(左)と佐藤氏(右)
ケアプロの前田氏(左)と佐藤氏(右)
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 最近では、SNS機能を付加(内包)した電子カルテも出てきているが、ケアプロは「UI(ユーザーインタフェース)などを考慮しても、必要な機能に特化した専門ツールを使ったほうが良い」(前田氏)との考えがあったとする。前述のタスク管理の効率化なども、専門ツールだからこそ得られた効果といえるのかもしれない。

 なお、Talknoteには「オーバーワーク検知」(アプリへのアクセス状況から実働時間を検知)や「アクションリズム解析」(アプリへのアクセス時間帯や投稿量などのリズム変化を解析)といった機能も備えている。これらの機能についてケアプロは、「活用方法を検証している段階」(佐藤氏)だという。

 2018年度診療報酬・介護報酬改定に向けた議論では、訪問看護ステーションの大規模化推進が論点の一つとなっている。今後、ステーションの大規模化は大きな潮流になるといえるだろう。こうした中、ケアプロが実践する取り組みは、大規模化に伴う情報共有のあり方を考える上での参考となりそうだ。