社内SNSで「患者ごと」にグループを設定
こうした課題を解消すべく、ケアプロは2015年末、情報共有に特化したツールを取り入れた。導入したのは、トークノートが提供する社内SNS「Talknote」である。このアプリを、PC端末からだけでなく、前述の全スタッフに貸与しているiPhoneからも使えるようにして、電子カルテ以外の情報共有に活用することにした。
Talknoteは、いわゆるLINEのようにチャットで情報共有する「メッセージ」機能に加え、「グループ」と呼ぶ情報共有機能を備える。これは、設定したグループごとに情報の投稿と、各投稿に対するコメントが整理・蓄積される機能。いわばFacebookと同様のインタフェースと言える。
このグループ機能を、ケアプロは情報検索の課題解消のために用いた。一般にTalknoteが企業に導入される場合、グループは部署・プロジェクト・会議体などの単位で設定されることが多いというが、同社の場合は「患者ごと」にグループを設定して活用している。
例えば、「山田花子(仮名)」というグループがあり、その患者(山田花子)に関する「血圧低下の件について」「患部の状況について」などといった投稿と、その投稿に対するコメントを訪問看護師が書き込んだり閲覧したりできるという具合だ。もちろん、文章だけでなく写真を添付することもできる。
この仕組みの導入によって、検索の負荷は大幅に解消されたと前田氏は語る。「導入から3カ月で目に見える効果が出てきた。訪問看護師の業務時間は、1日30分~1時間ほど削減できた」(同氏)。実は、ケアプロの訪問看護ステーションは、新卒看護師を積極採用していることでも知られており、看護師の平均年齢は29歳と極めて若い。普段からこうしたツールに慣れ親しんでいる世代のスタッフが多かったことも、ツールの浸透に奏功したようだ。