「創薬は非常に効率の悪いビジネス。デジタルやAI(人工知能)の活用もまだまだ遅れている。デジタル変革を今やらなければ間に合わない」――。塩野義製薬と同社傘下のシオノギデジタルサイエンスは2017年12月12日、基幹業務システムのアウトソーシングやデジタル人材育成を柱とする戦略的プロジェクト契約をアクセンチュアと締結した。同日の発表会に登壇した塩野義製薬 取締役 上席執行役員の澤田拓子氏は、提携の背景にあるデジタル化の遅れに対する危機感を隠さなかった。

塩野義製薬とシオノギデジタルサイエンス、アクセンチュアによる発表会の様子
塩野義製薬とシオノギデジタルサイエンス、アクセンチュアによる発表会の様子
[画像のクリックで拡大表示]

 塩野義製薬は2020年に向けた経営ビジョンとして、創薬型製薬企業として社会とともに成長し続けることを掲げた。だが創薬ビジネスの現状は厳しい。研究開発期間9~17年、研究開発費数百億円、成功確率0.0032%という、澤田氏が示した創薬のリスクがそれを物語る。「他業界の人からは、よくそんな世界で生きていますねと言われる」(澤田氏)。

 だがこうした効率の悪さは、改善余地が大きいことも意味すると澤田氏は説明した。すなわち「デジタル化やAIによって、ビジネスを根底から変えていくことができる」(同氏)。