新たな制度対応を効率化するシステムを開発

 回復期リハビリテーション病棟で高い有用性を発揮しているのが、新たに開発されたFIM(機能的自立度評価表)アウトカム管理システムだ。2016年度の診療報酬改定で回復期リハビリテーション病棟入院料にアウトカム評価が導入され、実績指数の公表が義務付けられた。リハビリの効果が一定水準を満たさない場合には、疾患別リハビリテーション料の算定を6単位までに制限するというもの。猶予期間を経て2017年4月に完全実施に移行したことに対応して開発された。

FIMアウトカム管理システムでは、日々リハビリ実績指数を確認できるほか、実績指数対象者から除外すべき患者も入棟時にひと目で判断できるよう工夫されている。
FIMアウトカム管理システムでは、日々リハビリ実績指数を確認できるほか、実績指数対象者から除外すべき患者も入棟時にひと目で判断できるよう工夫されている。
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 FIMアウトカム管理システムでは、日々リハビリ実績指数を確認できるほか、実績指数対象者から除外すべき患者も入棟時にひと目で判断できるよう工夫されている。

 実績指数を管理するためには、同病棟のすべての患者を対象に、入棟時のFIM得点、退棟時のFIM得点、入棟から退棟までの日数などを記録し、決められた算定式で算出する必要がある。石橋氏は、「病棟全体の実績指数が日々、何点になっているかを把握するために開発しました。また、算定要件から患者を除外する場合があるため、除外対象者がひと目で分かる仕組みを設けました」と説明する。管理画面では、各患者のリハビリによるFIMの増加(利得)状況がひと目で分かるように、FileMakerのWebビューア機能を使ってグラフ表示するなど、現場の要望に応じて細かな工夫が実装されている。

患者個々のFIMの推移を、グラフなどを用い詳細に管理できる。
患者個々のFIMの推移を、グラフなどを用い詳細に管理できる。
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 「開発期間は約2カ月」(石橋氏)だったというが、多くの施設がExcelなどを使い、手作業で苦労して計算して報告書を作成しているもので、FIMアウトカム管理システムの運用成果は非常に大きい。成果は日本医療マネジメント学会などで発表した。

 システムの導入・開発コストを抑えるためだけでなく、必要な機能を迅速に開発・改修できるFileMakerプラットフォームの利点を生かし、数多くのシステムを院内開発で進めてきたが、志田氏は、「今後は経営上のデータなどもリアルタイムに見られるようにし、小規模病院に適したデータ分析を実現していきたいと考えています」とし、民間医療施設としての経営効率性の向上と、患者中心の医療の質向上や在宅医療推進をさらに加速させる意欲を示した。

■病院概要

名称:医療法人天心堂 志田病院
所在地:佐賀県鹿島市大字中村2134番地4
理事長・院長:志田知之氏
設立:1955年9月(医院開院は1925年)
病床数:48床(回復期リハビリテーション病床28床、地域包括ケア病床12床、療養病床8床)
関連施設:グループホーム「さくら荘」、小規模多機能ホーム「くすの木」、デイケア「きんもくせい」「あすなろ」、デイサービス「花水木」「さざんか」、介護予防サロン「こもれび」
主要導入システム:ファイルメーカー「FileMaker Pro、FileMaker Server、FileMaker Go」