大阪大学とパナソニックは、イメージセンサーを先端に搭載した次世代血管内視鏡カテーテルを開発した。血管内の前方方向をカラー画像で観察できる。既にクラスⅣの医療機器として薬機法の承認を取得しており、同年12月に大正医科器械が発売する。なお、今回の共同開発はAMED(日本医療研究開発機構)の支援を受けて実施したものである。

左足の血管を模擬したチューブに次世代血管内視鏡カテーテルを挿入している様子
左足の血管を模擬したチューブに次世代血管内視鏡カテーテルを挿入している様子
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 動脈硬化などによって血管が狭くなったり詰まってしまったりした部分の血流を回復させる血管内治療で使用することを想定する。動脈硬化の状態やステント留置後の様子、血栓の観察などを行うことができる。

 これまでの血管内治療では、血管の内側を観察するために血管内超音波(IVUS)や光干渉断層法(OCT)が使われてきた。しかし、これらの方法では血管を輪切りにした断面しか得られず、これから治療を行う血管の前方方向を見ることができないという課題があった。さらに画像が白黒画像であったため、「血栓や動脈硬化の色調を見ることが難しかった」と2017年11月28日の記者発表会に登壇した大阪大学 大学院医学系研究科循環器内科学 国際医工情報センター 特任助教の岡山慶太氏は話す。

デモンストレーションを披露する大阪大学 大学院医学系研究科循環器内科学 国際医工情報センター 特任助教の岡山慶太氏
デモンストレーションを披露する大阪大学 大学院医学系研究科循環器内科学 国際医工情報センター 特任助教の岡山慶太氏
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 そこで、血管の前方方向をカラー画像で取得できる機器があれば手術に役立つと考えて開発を進めたのが、今回の次世代血管内視鏡カテーテルである。開発には4年の期間を費やしたという。

動物試験で血管の前方方向を観察した様子
動物試験で血管の前方方向を観察した様子
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