「50億円あれば何とかなる」

ディープラーニング環境構築を支援
ディープラーニング環境構築を支援
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 NVIDIA社はこれらの応用を見込んで、ハイパフォーマンスコンピューティングやAIの利用環境を、ユーザーが手軽に構築できるようにする環境整備にも余念がない。例えば、ソフトウエア提供を通じてディープラーニング環境を容易に構築できるよう支援したり、GPUをベースにディープラーニングに最適化した演算環境をパブリッククラウドで提供したりするなどの取り組みを進めている。他分野での取り組みと同様、優れたAI技術を持つ企業を顧客に紹介し、マッチングする取り組みにも力を入れていく。

 山田氏による発表後には、化学シミュレーションソフトウエアを手掛けるシュレーディンガー 代表取締役社長の小澤俊一氏が登壇。GPUで高速化した自由エネルギー摂動法(FEP)や分子動力学シミュレーションに基づく創薬支援への取り組みを紹介した。

 シュレーディンガーは、新薬候補物質の活性をFEPで予測するソフトウエアなどを提供しており、多数の製薬企業をユーザーとして獲得している。既に100種類以上のターゲットや3000種類以上のリガンド(ターゲットに特異的に結合する物質)のシミュレーションでその効果を実証済み。このソフトウエアを用いて開発し、臨床試験に進んでいる薬剤が現在4つあるという。従来の新薬開発コストが2000億円規模とされるのに対し、シミュレーション技術などを駆使することで「創薬は50億円あれば何とかなるというのが当社の共通認識だ」(小澤氏)とした。