「これまでは『商品』を中心にビジネスを進めてきたが、今回は一歩下がって、より本質的なところから取り組みたい。病気になってからではなく、健康なときに健康の大切さに気づく。そんな社会が実現してこそ、健康・疾病予防の領域で大きなビジネスができる」(花王 代表取締役 社長執行役員の澤田道隆氏)――。

2016年11月14日の講座開設式に臨んだ、花王社長の澤田氏(向かって左)と弘前大学学長の佐藤敬氏
2016年11月14日の講座開設式に臨んだ、花王社長の澤田氏(向かって左)と弘前大学学長の佐藤敬氏
[画像のクリックで拡大表示]

 花王が、ヘルスケア事業の拡大を視野に弘前大学とタッグを組む。2015年から弘前大学COIで進めてきた共同研究を発展させる形で、“健康を科学する”ことを掲げた共同研究講座「アクティブライフプロモーション学研究講座」を2016年12月に開設(ニュースリリース)。内臓脂肪や運動と、各種の疾患の関係などをテーマにした共同研究を3年間にわたり進める。花王はこの取り組みを、健康食品など、ヘルスケア関連の商品やサービスの開発につなげたい考えだ。

 2017年に創業130年を迎える花王。日用品メーカーのイメージが強いが、ヘルスケア領域に関しても「40年以上前から本質的な検討を進めてきた」と社長の澤田氏は話す。メタボリックシンドロームやロコモティブシンドローム、不定愁訴などをテーマに、予防に軸を置いた研究開発を進めてきたという。

 体脂肪の減少をサポートする飲料として、特定保健用食品(トクホ)の認定を受けた「ヘルシア」シリーズは、そうした取り組みの成果の1つ。目下、飲料だけでなく、健康をサポートする食品の研究開発を精力的に進めているという。「健康を軸にするならば、まずは自社から」(澤田氏)との思いから、従業員の健康支援にも力を入れる。経済産業省の健康経営銘柄には、2年連続で選ばれた。