既存製品も「健康ソリューション」の一環に

麦飯専用の炊飯モードを搭載したIH炊飯ジャー
麦飯専用の炊飯モードを搭載したIH炊飯ジャー
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 発表会では、健康増進を図れる調理器としてすでに販売している商品も紹介した。その一つが麦飯専用の炊飯モードを搭載したIH炊飯ジャーである。精麦メーカーのはくばくと共同開発した製品だ。

 日本人の食物繊維摂取量は減少傾向にある。食品別でいうと、米からの摂取量が最も多いが、米自体の摂取量も年々減少している。そこで、白米を食物繊維を多く含む麦飯に置き換えることで健康増進につなげようとの狙いである。麦飯には、「免疫力の向上やメタボリックシンドロームの解消、コレステロールの低減などの効果が期待できる」とタイガー魔法瓶 開発本部 統括マネージャーの金丸等氏は話す。

 はくばく 代表取締役社長の長澤重俊氏は、日本人の大麦摂取量と糖尿病の受療率や大腸がんによる死亡数を示したグラフを紹介した。大麦の摂取量が減少するとともに、糖尿病の受療率と大腸がんによる死亡数が増加していることから、「これらの疾患と大麦が何らかの関係があるのではないか」(長澤氏)と見ている。

 さらに、麦飯(大麦)には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がバランスよく含まれており、それぞれ、便通改善と生活習慣病改善に効果があるとされている。「介護施設では便秘の問題が大きいと聞いている。麦飯によって排便が促進されれば、介護従事者の負担軽減にもつながるのではないか」と長澤氏は期待する。

左から、はくばく 代表取締役社長の長澤重俊氏、タイガー魔法瓶 開発本部 統括マネージャーの金丸等氏、タイガー魔法瓶 代表取締役社長の菊池嘉聡氏、女優の佐々木希さん、兵庫県立大学 環境人間学部 教授の坂本薫氏、農業・食品産業技術総合研究機構の矢野裕之氏
左から、はくばく 代表取締役社長の長澤重俊氏、タイガー魔法瓶 開発本部 統括マネージャーの金丸等氏、タイガー魔法瓶 代表取締役社長の菊池嘉聡氏、女優の佐々木希さん、兵庫県立大学 環境人間学部 教授の坂本薫氏、農業・食品産業技術総合研究機構の矢野裕之氏
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 このほか、無添加グルテンフリー米粉100%食パンを作ることができるIHホームベーカリー「やきたて」も紹介した。農業・食品産業技術総合研究機構と共同研究の末、2016年9月から発売している。

IHホームベーカリー「やきたて」
IHホームベーカリー「やきたて」
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 グルテンは、小麦に含まれるたんぱく質の一種。パンを膨らませる効果がある。これに対して、小麦ではなく米粉を使用するパンは、増粘剤などの添加物を使ってパンを膨らませていたが、食感があまりよくないという欠点があった。

 やきたてでは、増粘剤を使わずに「洗顔フォームと似た原理で生地を膨らませることができる」と農業・食品産業技術総合研究機構の矢野裕之氏は説明する。洗顔フォームが、空気の周りを界面活性剤が覆うことで膨らむのと同様に、軟らかい米粉の生地が発酵ガスの周りを覆うことでパンが膨らむのだという。