医療機関の感染対策チームの業務は、病院感染予防や職員の健康管理といった日常業務から緊急時のアウトブレイク管理や発生報告まで広範におよぶ。こうした感染対策チームの負荷軽減と院内の感染拡大の予防を支援するシステムを、労働者健康安全機構 中国労災病院は、FileMakerプラットフォームを利用して構築・運用している。同病院 感染対策室の小西央郎氏は、「FileMakerカンファレンス2017」(2017年10月23~25日、パシフィコ横浜)のメディカルトラックにおいて、そのシステムの概要を紹介した。

中国労災病院 感染対策室の小西氏
中国労災病院 感染対策室の小西氏
[画像のクリックで拡大表示]

 感染対策管理システムは、感染管理看護師管理日誌、抗菌薬ラウンド、手術部位感染サーベイランス報告、結核接触患者検診、職員ワクチン管理、アウトブレイク管理、抗菌薬適正使用管理といった業務を支援する。これらの管理のために、同病院では電子カルテシステムの各種情報を出力し、FileMaker Proに取り込んでいる。「病院のポリシーとして、電子カルテプラットフォーム上にFileMaker Serverなど他のシステムを導入できないため、電子カルテからテキストベースで出力し、手作業でFileMakerに取り込んでデータベース化している」(小西氏)という。

 具体的な情報は、患者および職員の基本情報、移動(入退院、食事)、手術(手術名、術式)、薬剤(内服・注射)、処置(特定保険治療材料)などのオーダー情報、感染対策で重要な微生物検査や検体検査(白血球やCRP検査)結果、患者の検温表データなどだ。