九州から東京、そして世界へ――。九州大学発ベンチャーのHIROTSUバイオサイエンスが手掛ける、線虫でがんを検査する技術「N-NOSE」が、日本全国そして世界へと解析・研究拠点を広げる(関連記事1)。九州・沖縄・四国・首都圏に解析センターを設置するとともに、オーストラリアにも臨床研究拠点を開設。日本人に加え、アジア人や欧米人の検体を対象とした解析や研究を行える体制を整える。

 こうした展開に向けて、信用金庫業界による支援が決まった。2017年10月26日に信金キャピタルが東京都内で記者説明会を開催し、HIROTSUバイオサイエンスに投資し、資金面を中心とした協力を行うと発表した。日本全国や世界への事業展開をサポートする。

向かって右から順に、福岡ひびき信用金庫 理事長の野村廣美氏、HIROTSUバイオサイエンス 代表取締役の広津崇亮氏、さわやか信用金庫 理事長の篠啓友氏、信金キャピタル 代表取締役の山口和男氏
向かって右から順に、福岡ひびき信用金庫 理事長の野村廣美氏、HIROTSUバイオサイエンス 代表取締役の広津崇亮氏、さわやか信用金庫 理事長の篠啓友氏、信金キャピタル 代表取締役の山口和男氏
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 信金キャピタルは、信用金庫業界の中央金融機関に当たる信金中央金庫の100%子会社。信用金庫業界のファンド「しんきんの翼」を活用して、HIROTSUバイオサイエンスに対して3000万円を支援する。「がんの早期発見という社会的意義のある取り組みであることから、投資を決定した」(信金キャピタル 代表取締役の山口和男氏)。

 しんきんの翼は、信用金庫から推薦された企業のみを投資対象とするファンド。今回、福岡ひびき信用金庫(福岡県)とさわやか信用金庫(東京都)の推薦を受け、同ファンドの運営主体である信金キャピタルが投資を決定した。複数金庫からの推薦による投資決定は、しんきんの翼では初のケースといい、HIROTSUバイオサイエンスの事業の将来性や成長性への期待によるものという。