心の状態を2つの側面から

 研究では、被験者の心の状態を調べるために2種類のアンケートをアプリ上で実施する。それぞれ、1)定常的に感じている「モチベーション」や「ストレス」、2)その時々の状況に応じて変化する「喜怒哀楽(感情)」を調べるものだ。

 例えば1)では、仕事に対するモチベーションの高さやストレスの感じ方などに関する数十問の設問に答えることで、自分のモチベーションの高さやストレスの強さが、同種の職業に就いている人達の中で相対的にどのような位置にあるかなどをグラフで把握できる。10万人規模の調査データに基づいて開発したもので、明治学院大学の監修を受けた。

モチベーションやストレスを可視化
モチベーションやストレスを可視化
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 2)は「デイリー調査」として5日間、朝・夕に実施することを求めるもので、数十種類の感情の中から、その時の感情を最もよく表すものを5種類選ぶ。この調査と併せて、ガイダンスに合わせて2秒に1回のペースでまばたきを続けるタスクが課される。

 研究では、これらのアンケートから得られる「構造化されたデータと、JINS MEMEで得る非構造化データを突き合わせて解析する」(井上氏)。これにより、日々の心の状態とまばたきなどの生理現象の相関を明らかにする。「あの場所であの環境に触れると、自分はこんな感情になる――。そんな相関が分かれば、非常に価値の高い情報になるだろう」(同氏)。

 うつ病などの精神疾患を早期に発見するアルゴリズムを見い出すことも、研究の大きな狙い。精神疾患など、日本の「社会問題の解決につなげたい。ここで集めたデータは海外にも展開できると考えている」(同氏)。