青森と長野の違いは…

 中路氏は「弘前大学COIには世界一のデータが集まっているが、研究のための研究ではダメ。最終的に青森県民を長生きさせることが目的」と話す。青森県は、平均寿命が最も長い長野県との比較で、特に40歳代から60歳代の死亡率が高く、この年代の死因の7割が三大生活習慣病という。「健康に良くない生活をし、やがて病気になり、そのうちの一部が亡くなると考えると、この年代の30~40年前から対策しなくては。つまり、小学生から若者世代への健康づくりの啓発が大切だ」(中路氏)。

フォーラムには青森県知事の三村申吾氏も出席。「日本一の短命県という“地べた”から健康づくりイノベーションを起こしたい。『だし活』など、人々の意識を変えていくことが一番のイノベーションだと思う」とあいさつした
フォーラムには青森県知事の三村申吾氏も出席。「日本一の短命県という“地べた”から健康づくりイノベーションを起こしたい。『だし活』など、人々の意識を変えていくことが一番のイノベーションだと思う」とあいさつした
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 弘前大学COIプロジェクトでは、小学校で健康関連の授業をする活動をしているが、2014年実績の1校、2015年の5校から、2016年は13校程度に広げる予定だ。また、青森県医師会に属する組織として2015年4月、「健やか力推進センター」が設立され、健康づくりを広める人材の育成などを進めているが、これも2015年に県内20カ所で実施した育成講座を、2016年は30カ所に増やすとする。

 「健康増進に向けた会議自体は、青森でも長野でも同様の風景。ただし、“会議の後”が違う。長野は健康を考える仲間がたくさんいて、会議で決まったことがすぐ実行されて広がる。青森ではそうはなっていない。仲間を増やす必要がある。健やか力推進センターを本気で地域・職域・学校の推進力にしたい」と中路氏は力説する。