「テレビの向こう側の惨状が突如、我々の施設が直面するリスクに変わった」――。長野市にある約400床の地域拠点病院、長野市民病院で医療情報システムを担当する高野与志哉氏(診療情報管理室 システム管理チーム リーダー)は、2011年3月に起こった出来事をこう振り返る。東日本大震災が発生した3月11日の翌日、3月12日未明に最大震度6強の地震が長野県北部を襲ったのだ。

 実は、同病院はその約2週間前、2月28日に院内の電子カルテシステムを更新したばかりだった。その時点では「D(Disk)toDtoD型のバックアップで十分。別の場所へのバックアップはシステム稼働後にトラフィックを測定してから、と考えていた」。この意識を「3.11」が変えた。電子カルテのバックアップデータを、外部のデータセンターに保管すると決めたのだ。そこで選んだのが「パブリッククラウド」という選択肢だった。

講演する高野氏
講演する高野氏
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 高野氏は、日本マイクロソフトのプライベートイベント「FEST2015」(2015年9月2~4日、東京都)に登壇。「パブリッククラウドに保存される医療データ」と題するセッションで、同院におけるクラウド導入事例を紹介した。