能登中部医療圏の中核病院である董仙会 恵寿総合病院(石川県七尾市)は、患者自らが診療情報の一部をスマートフォンなどで閲覧できるサービスの提供を2017年9月4日に開始した。患者自らが診療情報を持ち歩くことにより、自身の病気を理解し、健康管理や医師や薬剤師とのコミュニケーションを深めることを狙う。

患者は自らのスマートフォンで診療情報を閲覧(左はiPhoneアプリで、右はAndroidのブラウザーで表示)
患者は自らのスマートフォンで診療情報を閲覧(左はiPhoneアプリで、右はAndroidのブラウザーで表示)
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 このサービスは、メディカル・データ・ビジョン(MDV)の「CADA-BOX」を導入することで実現した。CADA-BOXは、患者自身が診療情報の一部を管理・閲覧できるWebサービス「カルテコ」と決済機能などを融合した病院向けシステム。2016年10月にリリースされており、今回は全国で3番目、北陸地方では初の導入となる。

 恵寿総合病院の電子カルテシステムと連結することで、カルテ情報の一部をポリシー設定によりカルテコに開示する。患者は自分のスマートフォンアプリやパソコンのWebブラウザーで、開示された診療情報を閲覧できるようになる。スマートフォンなどを利用できない患者は、院内に設置されたCADA-BOXの専用端末(CADA-BOXステーション)で診療情報をプリントアウトして持ち帰ることができる。

病院内に設置したCADA-BOXステーションでは、患者のIDカード(CADAカード)で自分の診療情報をプリントアウトして持ち帰ることが可能。恵寿総合病院の神野氏(右)とメディカル・データ・ビジョンの岩崎氏(左)
病院内に設置したCADA-BOXステーションでは、患者のIDカード(CADAカード)で自分の診療情報をプリントアウトして持ち帰ることが可能。恵寿総合病院の神野氏(右)とメディカル・データ・ビジョンの岩崎氏(左)
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 閲覧できるのは、医療機関情報、受診日、疾病名、病状リスト(受診理由や主訴などを自身で登録)、検体検査データ、診療中の投薬・注射および処方せん情報など。現時点では2017年6月以降の診療情報を閲覧できるが、今後はさらに遡った情報も格納できるよう検討する。