発表会を開催
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 ヤマハの優れた技術を“命のために”――。二輪車大手のヤマハ発動機は、そんな合言葉のもとバイオ・メディカル分野に参入する。7年前、社内で行ったアイデア公募がそのきっかけだ。

 同社は2017年9月1日、創薬やがん研究などにおける薬効評価工程の一部を自動化する装置「CELL HANDLER(セルハンドラー)」を開発したと発表した。人手では難しかった速度と精度で細胞塊を選択し、高密度培養プレートへ移動するとともに、撮像・データ取得までを自動でこなす。製薬企業や研究機関をターゲットとする製品で、1号機を福島県立医科大学に納入した。

 開発に当たっては、同社の産業用ロボット事業部(IM事業部)で手掛ける「表面実装機の技術を応用した」(ヤマハ発動機)という。IM事業部の主な対象は自動車や電機、半導体分野であり「将来、販売が頭打ちになることへの危機感があった」(同社)。

 そこで新分野開拓に向けて、2010年にビジネスアイデアを募集。iPS細胞の発見を受け、幹細胞などを用いた研究やビジネスが活況を呈し始めていたバイオ・メディカルを新たな応用分野に定めた。

社内のアイデア公募から開発が始まった
社内のアイデア公募から開発が始まった
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 ヤマハ発動機の現在の主力事業は、同社の代名詞でもある二輪車。全社売上高の約62%を二輪車事業が占める。対して産業用機械・ロボット事業の売上高構成比は約3%と現状ではまだ小さい。バイオ・メディカル分野への参入により、将来の事業拡大への布石を打った形だ。