医療機関で使いやすい提供方法に

 アミヴィッド静注は、検査時間に所定の放射線量を維持することができるフレキシブルドーズ薬剤として提供される。これは、放射性医薬品が持つ固有の半減期(放出する放射線量が半分になるまでの時間)を考慮して、検査時に最適な放射能を維持できるようにするというもの。

 アミヴィッド静注は、18F(フッ素18)というラジオアイソトープを用いた放射性医薬品なので、110分かけて放射能が半減する。そこで、検査時間に規定の放射能である370メガベクレルを維持できるよう、放射能濃度や液量を調節して提供する。

 これまで提供されていた放射性医薬品は、「9時に370メガベクレル」という販売のされ方をしてきたが、フレキシブルドーズ薬剤とすることで、医療機関側に使いやすいようにしたというわけだ。

 なお、アミヴィッド静注を使ったPET検査は、治療薬の治験において患者を選定する際にも使用されている。これまで行われてきた治療薬の治験では、「アルツハイマー型認知症患者ではない人を被験者にしてしまったために失敗に終わったと考えられる事例がある」と富士フイルムRIファーマの寺嶋氏は話す。そこで、蓄積しているアミロイドβを可視化してアルツハイマー型認知症患者を確実に被験者にするという使い方もされている。

■変更履歴
第2段落に関して、幾つか情報を追加しました。
■変更履歴
記事初出時、アミヴィッド静注の規定の放射能を「370ベクレル」としておりましたが、正しくは「370メガベクレル」でした。お詫びして訂正します。記事は修正済みです。