95%のデータは自動取得、修正も必要

 ICU台帳には、電子カルテ情報をベースにしたDWHから取得したデータのほか、ACSYSに記録されるデータの全レコードが取り込まれており、自動取得ボタンをクリックするとJIPAD出力用のデータが取得される。「全データのうち95%程度は自動取得されるが、当然ながら看護師が現場で正しいデータをすべて入力していることが前提であり、入力が漏れている場合は手入力が必要になる」。例えば、ICU在室中の腹膜透析や大動脈バルーンパンピング(IABP)などの治療内容、ベッドサイドで入力する尿量などは、ACSYS上にその都度入力しておかないと、後作業が必要になる。

 また、慢性疾患はほとんどが疾患名で記録されているため、個々の疾患の有無(Yes/No)でサマリー化するには手作業が必要になる場合も多い。在室中の治療もテキスト入力しているので、同様の確認作業が必要になる。「治療についてはさまざまに表記されているのが実情だ。例えば、透析治療を“透析”“HD”などの言葉を拾い出すようにしたが、言葉によっては正しい治療内容として判別するのに限界がある」とし、できるだけフリーテキスト入力でなく、治療名の選択方式で入力するよう徹底したと橋本氏は話す。

 APACHEの重症度スコアの要素であるバイタルや生化学データは、ICU入室24時間以内の最高値と最低値を記録する必要がある。生体情報モニターから取得した全レコードから自動で拾い出すようになっているが、「アーチファクトとみられるデータも数多く含まれるため、ICU台帳上で時系列データを確認して最高値/最低値を確定するよう看護師に指示している」。

 すべての項目の入力を確認したら、ICU台帳内に実装したJIPAD Internalにデータ送信する。すると、バイタルや生化学データ、年齢による修正加算、慢性疾患評価などからAPACHE IIスコアが算出され、緊急手術の有無や主疾患に割り当てられた疾患別係数を基に、院内予測死亡率が自動的に算出される。得られたデータは暗号化・匿名化されてJIPAD登録データが完成する。

JIPAD Internalの画面。ICU台帳で確認したデータが送信される。
JIPAD Internalの画面。ICU台帳で確認したデータが送信される。
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