――今回の成果を踏まえ、どのような展開を考えていますか。

 費用対効果を含め、8K映像による手術支援に適した疾患とそうでないものについての検討を進めたいと思います。

 産学連携での共同研究も進めます。その1つが、8K対応の硬性内視鏡の開発です。今回は8Kカメラと既存の硬性内視鏡の間に2種類のコンバーター(レンズアダプター)を挿入して焦点を合わせましたが、今後はオートフォーカスの導入が望ましい。重量についても、カメラと硬性内視鏡を合せてさらなる小型化と軽量化が求められます。現状では全体で4kgほどとまだ少し重いため、今回の手術では滅菌ビニールで包んだ1本脚をカメラに取り付けて支える方法を取りました。

 8K映像ではデータ量が膨大になるため、映像データの記録、圧縮、伝送方式の工夫も課題です。今回は有線ケーブルで8K映像を伝送し、それでも遅延はほとんど発生しませんでした。ただし今後は映像の長距離伝送などを視野に、非圧縮伝送技術や光ファイバーの導入、無線化を検討していきます。

 外科医のトレーニングに使えるような医学教育用コンテンツの開発も、重要なテーマです。ロボット支援手術などに向けた、新しい医療機器の開発にもつながるのではないかと思っています。