――臨床の観点から、有用性を感じたでしょうか。

 予想をはるかに上回るメリットを実感しました。最大の成果は、8Kならではの解像度の高さや色域の広さから、“触覚”があるかのような感覚が得られたことです。臓器の変形やゆがみを可視化でき、その箇所の硬さや柔らかさかが視覚からかなり分かった。これにより、どのくらいの力で引っ張られており、どのくらいの力でちぎれるかなどを判断できたわけです。

 外科医療においては、対象の可視化に加えて“可触化”が非常に重要です。ですから、触覚が得られないことは、従来のロボット支援手術の最大の課題でした。

8Kカメラによる映像
8Kカメラによる映像
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2K内視鏡による映像
2K内視鏡による映像
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 毛細血管の様子や、血管と脂肪の境界、目的の臓器と周囲組織の境界なども、8K映像では鮮明に分かりました。このため、切除範囲などについての迷いが減り、判断が速くなった。術者の感じるストレスが減るため、手術の安全性も向上すると思います。