――どのような手術を、どのような方法で撮影したのでしょう。

 米Intuitive Surgical社の手術支援ロボット「da Vinci Surgical System(ダビンチ)」を用いた前立腺がん手術(ロボット支援腹腔鏡前立腺全摘出術)を8Kカメラで撮影しました。患者の同意のもと施設の倫理委員会による承認を得た上で実施し、手術は問題なく終了しています。

 実際には、アストロデザイン製の8Kカメラを滅菌バッグに梱包して、滅菌済みの硬性内視鏡に装着しました。電気メスや吸引管を挿入するために患者の腹部に空ける直径12mmのポート(孔)からこの内視鏡を挿入して、撮影を行っています。ダビンチに備わっている2K(2000×1000画素級)内視鏡の映像を見ながら手術操作を行い、8K映像を状況に応じて参照するという形です。腹腔内の内視鏡手術映像を65型の4Kモニターに適宜、8K相当にアップコンバートして表示させました。

8Kカメラを滅菌バッグに梱包し、滅菌済みの硬性内視鏡に装着
8Kカメラを滅菌バッグに梱包し、滅菌済みの硬性内視鏡に装着
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 これまで、ロボットを使わない腹腔鏡手術や顕微鏡手術、開腹手術を8Kカメラで撮影した事例はありましたが、ロボット支援腹腔鏡下手術を8Kで撮影したのはこれが初めてです。8Kカメラには、従来の手術撮影に用いたものに比べて高精細で高解像度のCMOSセンサーを搭載しています。ですから今回得られた映像は“世界で最も綺麗な手術映像”といえます。