震度7の揺れが2度にわたり熊本県を襲った「平成28年 熊本地震」。この震災は、災害・救急現場へのテクノロジー活用を目指す団体を立ち上げたばかりだった2人を、被災の当事者にした。混乱する被災地で2人が直面した、災害時のテクノロジー活用の課題とは――。

 救急医療・災害対応無人機等自動支援システム活用推進協議会(EDAC)は2016年7月31日、「民間・行政・医療 それぞれの立場で語る熊本地震100日史 ~あのとき現場で本当は何が起きていたのか~」と題する講演会を東京都内で開催した。EDACはドローンなどの技術を災害・救急現場に活用することを目指し、2016年1月17日に立ち上がった一般社団法人である(関連記事)。発足からわずか3カ月、多数の死者・負傷者を出し、16万戸もの家屋に被害を与えた大震災を目の当たりにすることになったのは、その理事長と副理事長だった。

登壇した稲田氏
登壇した稲田氏
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 その1人、EDAC理事長/最高現場責任者を務める稲田悠樹氏は、熊本市在住だ。地震発生後しばらくは自宅が断水し、余震にもおびやかされ続けてきた。講演会では、今回の震災で同氏が経験した民間ボランティアやドローン活用の試みについて語った。