2017年度中には京大病院でも

 国立がん研究センターでは、かねて希少がんに対する治療や研究を進めていた。2014年6月には「希少がんセンター」を設立し、年間1000~1500人の希少がん患者に対して臨床試験を行っている。

国立がん研究センター 中央病院 副院長の藤原康弘氏
国立がん研究センター 中央病院 副院長の藤原康弘氏
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 MASTER KEYプロジェクト始動の背景には、「ゲノム医療の進歩がある」と国立がん研究センター 中央病院 副院長の藤原康弘氏は話す。国立がん研究センター 中央病院で2013年から進めている「TOP-GEARプロジェクト」もその一つ(関連記事1)。TOP-GEARプロジェクトでは、がん種を問わずに遺伝子検査を実施している。これによって得られた患者の遺伝子情報もMASTER KEYプロジェクトのレジストリ研究で使用することができる。

国立がん研究センター 中央病院 院長の西田俊朗氏
国立がん研究センター 中央病院 院長の西田俊朗氏
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 記者説明会に登壇した国立がん研究センター 中央病院 院長の西田俊朗氏は、希少がんを対象にした研究開発プロジェクトを開始する意義を次のように語った。「希少がんにおいては、疾患の病態がはっきりしないことが課題。それぞれの疾患を明確に定義し、できるだけ多くの疾患に答えを出していきたい」。

 現在の拠点は国立がん研究センターだが、2017年度中には京都大学医学部附属病院においてもMASTER KEYプロジェクトを実施できるよう準備を進めているという。さらにレジストリ研究に関しては、対象患者の年齢を1歳まで引き下げ、血液がん患者などへも対象を広げていきたい考えだ。