「介護ロボット・人工知能研究室」。2016年7月に、そんな名称の部署を立ち上げた事業者がある。特別養護老人ホームなどの経営を手掛ける社会福祉法人 善光会だ。

セミナーに登壇した徳山氏
セミナーに登壇した徳山氏
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 その室長を務める徳山創氏は「あるものは導入し、ないものは作る」という姿勢で、運営施設へのロボット導入を積極的に進めてきたと語る。さまざまな試行錯誤から得たロボット活用に関する知見を「高齢者住宅フェア2016in東京」(2016年7月27~28日、東京ビッグサイト)で紹介した。

 徳山氏はまず、高齢化や人材不足、膨れ上がる介護財源などを背景とする福祉の“悲観的未来”として、「福祉サービスを受けるべき人に対して、資金不足でサービスを提供できない」「福祉サービスを提供する人が圧倒的に足りず、サービスを提供できない」状況を挙げた。“希望的未来”を導くためには、人手をかけず、お金をかけず、しかもサービスの質を落とさない福祉の実現が必要と説く。

 そのために福祉業界にとって重要と指摘したのが、異業種との連携だ。ITや電機など「テクノロジーとの融合は問題解決の打ち手として期待される」(徳山氏)。中でも注目の存在だとするのが、介護ロボットである。