「Baby うんち」。一風変わった名前のiPhoneアプリを使った臨床研究が始まる。生後間もない赤ちゃんの便を、母親が日々のおむつ交換時にiPhoneで撮影。赤ちゃんの健康状態の把握につなげるとともに、1万人を超える規模でデータを集め、便の色情報から新生児の病気を早期発見できるアルゴリズムを開発する。

 研究を率いるのは、聖路加国際大学 臨床疫学センター 公衆衛生大学院設置準備室 講師の星野絵里氏のグループ。うんち観察アプリなどを手掛けるウンログと組み、便の色情報を画像データで収集するとともに、病気の可能性を評価する機能を備えたiPhoneアプリ「Baby うんち」を開発した。医学・健康分野の研究を支援する目的で米Apple社が提供するオープンソースフレームワーク「ResearchKit」を活用したアプリだ。

聖路加国際大学の星野氏。2016年3月に竣工した新校舎「大村進・美枝子記念 聖路加臨床学術センター」の前で。2017年に開設する公衆衛生大学院の設置準備室を、同センター内に設けている
聖路加国際大学の星野氏。2016年3月に竣工した新校舎「大村進・美枝子記念 聖路加臨床学術センター」の前で。2017年に開設する公衆衛生大学院の設置準備室を、同センター内に設けている
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 今回の研究は「胆道閉鎖症」と呼ぶ、生後間もない赤ちゃんに発症する疾患のスクリーニング手法を開発することが大きなテーマ。胆道閉鎖症は、生まれつきまたは生後間もなく、肝臓と十二指腸をつなぐ胆管がつまって、胆汁が腸に流れなくなる疾患だ。新生児の約1万人に1人が発症するとされ、放置して肝硬変になると高い確率で死に至る難病である。致命的にしないためには、生後2カ月以内に発見し、外科手術を受けることが重要とされる。