管理負荷削減と可用性向上に寄与する電源環境

 UPSの集約化は運用管理面でも導入成果が現われつつある。Symmetra PXシリーズには、パワーモジュールやバッテリーモジュールなどの運転状態やイベントを監視するとともに、サーバーを安全にシャットダウンすることができるUPS運用管理ツールがある。「従来、UPS1台ずつ目視しなければならなかったが、管理画面で一元管理できるようになった。毎朝、病院情報システムのサーバー状態をチェックしているが、その管理工程にUPSのチェック項目を組み込むことができた」(同氏)とし、UPS自体の冗長化構成と合わせ、管理レベルの向上により、システム可用性の向上に寄与していると話す。

69台の小型UPSをSymmetra PXに統合(奥のラック2本)
69台の小型UPSをSymmetra PXに統合(奥のラック2本)
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 また、バッテリー交換においても、個々のUPSで時期によって迅速に対応しなければならなかったが、管理ツールで交換時期を予測でき、サーバーを停止することなくオンライン状態で交換できる環境にできたことも大きなメリットだという。

 今回の病院情報システムの電源環境の刷新により今西氏は、消費電力の約2割削減、運用負荷の削減、物理スペースの確保、信頼性向上を実現できる環境を整備できたと見ている。「間もなく旧システムとの並行運用が終了し、こうした机上での計算が実環境で達成できるのではないかと期待している」と話す。

 一方、コスト削減においては、従来のUPSと同じ環境より導入コストが増加したが、「消費電力の削減とバッテリー交換のランニングコストは、7年間の更新スパンで見れば明らかに削減できると見込んでいる」(同氏)と期待は大きい。

 「当院が高度急性期医療を担っていくには、常に最新の医療機器導入していく必要がある。2015年10月より救命救急センターの指定を受け、病院情報システムも重症部門システムを充実させなければならない」という今西氏。そうした中でムダを削減していく上でフォーカスしたのが、病院情報システムの電源まわりのコスト削減である。「導入した新たな電源環境が、システム拡張への柔軟な対応とムダの削減に寄与してくれるものと期待する」と展望した。