UPS、サーバー、ネットワークの集約でスペース確保

 シュナイダーエレクトリックのSymmetra PXを選定した背景は、施設課から提案があったこと。そこには、JA愛知厚生連の海南病院で機種は異なるものの導入実績があったからだ。「初めてのソリューションで不安はあったが、参考のために見学して集約することのメリット、運用管理面やランニングコスト、省スペース化の実績を確認できた」(同氏)と、導入決定に至った経緯を話す。

医療情報室長の今西忠宏氏
医療情報室長の今西忠宏氏
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 Symmetra PXは、パワーモジュール(UPS部分)、バッテリーモジュール、インテリジェントモジュール(制御系)の3つの主要部品で構成されるシステム。パワーモジュールは機種によって、1基10kVA/10kW、16kVA/kW、25kVA/25kWのモデルがあり、必要に応じて拡張できる点が特長。また、UPS自体の障害対策として、パワーモジュールにN+1の冗長構成をとっている。江南厚生病院では、10kVA/10kWを4基(N+1)導入し、サーバールーム内の病院情報システム全体の電源をバックアップしている。

 当初、各システムのサーバー仕様書からIT負荷積算を行うと最大消費電力は、Symmetra PXが2セットでも不足する可能性があった。シュナイダーエレクトリックが、同社のパートナーであり、システム構築を統括した富士通エフサスの協力の下、サーバー個々のCPUやハードディスクなどの搭載部品の消費電力から積算した結果、1セット(パワーモジュール3+1基)で十分対応可能だったという。

 その結果、従来69台あった小型UPSをSymmetra PX1セット(バッテリーモジュールなどを含め2ラック)に集約でき、電力総量の削減とUPSの省スペース化を実現した。「従来ならUPSだけで8~9本のラックが余分に必要になるが、2本に抑えられた。また、一部でサーバー仮想化によるサーバー集約、ネットワーク機器の集約を実施したこともあり、新・旧システムを並行運用できる更新時のスペースを確保できた」(同氏)と説明する。

 ちなみに、サーバーの仮想化は今回、電子カルテシステム(オーダリングを含む)で仮想サーバー19台を6台の物理サーバーで、医事会計システムで仮想サーバー6台を1台の物理サーバー上で運用している。「部門システムの仮想化も視野に入れていたが、要件仕様策定時にベンダー間で仮想化への取組に差があったため、今回の更新では見送らざるを得なかった」(同氏)。