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「皮膚呼吸」できる貼り付け型生体センサー

東大と慶応医学部が開発

2017/07/19 07:30
大下 淳一=日経デジタルヘルス
手の甲に装着したナノメッシュ電極
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フレキシブル電池からナノメッシュ電極を介して電力を供給し、LEDを点灯
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ナノメッシュ電極の作製法
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 東京大学大学院 工学系研究科 教授の染谷隆夫氏らの研究チームは、慶応義塾大学医学部 教授の天谷雅行氏、理化学研究所、科学技術振興機構(JST)と共同で、軽量で薄く、長期間皮膚に貼り続けても炎症を起こさないナノメッシュ電極を開発した。健康や医療、介護などの分野で、生体情報を長期間にわたり計測する際のセンサー電極として利用できる。この電極を使って筋電位や温度、圧力などを計測できることを確認済み。2017年7月17日(英国時間)、英国科学誌「Nature Nanotechnology」のオンライン速報版に成果が掲載された。

 染谷氏らの研究グループはかねて、軽量で薄く装着感を感じさせない皮膚貼り付け型生体センサーを開発してきた(関連記事)。ただし、これまで開発したものは通気性に乏しく、長期間皮膚に貼り続けると炎症反応によるかゆみや赤みを生じやすいという弱点があった。これに対し今回のナノメッシュ電極は通気性が高く、皮膚呼吸を妨げない。これにより、皮膚貼り付け型生体センサーから「炎症反応というネガティブな要素を排除できた。安心して(生体情報計測の)実験に使えるものになった」(染谷氏)。

 開発したナノメッシュ電極は、エレクトロスピニング法と呼ぶ手法でナノファイバー状にしたポリビニルアルコールの表面に、金を蒸着したもの。ナノサイズのメッシュ構造を持つため通気性に優れ、水蒸気透過率は96.5%。シート状に作製した電極を皮膚に載せて少量の水を吹きかけると、ポリビニルアルコールが溶けて皮膚に貼り付き、皮膚表面の微細な凹凸に沿って金電極が形成される。こすったりすることで、皮膚からはがすことも簡単にできる。

 皮膚への炎症反応の有無を調べるために、20人の被験者にパッチテストを実施。ナノメッシュ電極のほか、シリコーン、パリレンを1週間皮膚に貼り付けた後、装着部の皮膚の状態を皮膚科専門医が判定する試験を、慶応大学医学部の天谷氏が中心となって行った。この結果、シリコーンとパリレンではわずかな炎症反応が認められたが、ナノメッシュ電極では炎症反応は認められなかったという。装着中の違和感、装着部のかゆみや赤みなどの自覚症状を問うアンケートでも、ナノメッシュ電極が最も不快感が少ないとの結果が得られた。

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