「見られている」で意識変容

 では、ともながクリニックと南流山糖尿病栄養内科 さいとうクリニックが実際にWelby マイカルテを活用する中で、見えてきた利点は何なのか。

 まず、両クリニックともに口をそろえるのが、食事の記録を写真で共有できることによる利点である。「従来はどの料理をどのくらい食べたかを数値で示してもらっていたため、数百グラムと書かれていてもピンとこない場合もあった」(朝長氏)。

ともながクリニック 院長の朝長修氏
ともながクリニック 院長の朝長修氏
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 さらに、ともながクリニックでは、患者の意識変容にも効果があるとみる。「我々のクリニックでは食事の記録を医師と管理栄養士が見ている。記録が人に見られていると思うと、患者は食事の歯止めをかけるなど意識変容につながるのではないか」(朝長氏)。

 そのため朝長氏は今後、Welby マイカルテが備えるコメント機能を積極的に利用していきたいと語る。「医師がこまめに記録を見ていることがわかれば、患者自身が生活習慣の見直しを強化するのではないか。管理栄養士による食事のアドバイスも併せて行っていきたい」(同氏)。ただし、見られることに抵抗がある人もいるため、意識変容の効果については患者次第の部分もあると指摘する。

 一方、南流山糖尿病栄養内科 さいとうクリニックが利点として挙げるのは、患者とのコミュニケーションへの活用だ。「『食事の写真を見ながら患者とディスカッションできるので便利』という声が管理栄養士から聞こえてくる」(齊藤氏)。この他、測定データをグラフ化できるため「ビジュアル化によって患者のモチベーションにつながる可能性がある」(同氏)とみる。