人体内の必要な場所で、必要な時に、必要な診断と治療を行う――。人体そのものに“病院”の機能を持たせる「体内病院(In-Body Hospital)」を目指したプロジェクトが日本で進行中だ。

 鍵を握るのは、ナノサイズの「スマートナノマシン」。体内をくまなくめぐり、がんなどの疾患をその場で診断したり治療したりする。半世紀前のSF映画「ミクロの決死圏(Fantastic Voyage)」に描かれた世界を、ナノマシン技術で現実のものとする試みだ。

 プロジェクトを主導するのは、ナノ医療イノベーションセンター(iCONM) センター長の片岡一則氏。文部科学省・革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)の採択拠点である「COINS(Center of Open Innovation Network for Smart Health)」などで取り組む同プロジェクトの進捗を、Science Robotics誌の発刊記念シンポジウム(2016年7月5日)で語った(関連記事1)。

講演する片岡氏
講演する片岡氏
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