長谷工グループでサービス関連事業を手掛ける長谷工アネシスは、コミュニケーションロボットを用いた介護予防体操のアプリケーション「Pepper版ゆうゆう体操」を開発した。2017年6月30日にPepperアプリのプラットフォーム「ロボアプリマーケットfor Biz」内で販売を開始した。

 介護予防と一口に言っても、軽度の要介護者の自立度改善や終末期の支援などその中身は多岐に渡る。この中で長谷工グループの中でもシニア関連事業を手掛ける長谷工シニアホールディングスでは、自立している高齢者の健康寿命をどう伸ばすかということに重心を置いている。その具体的なアプローチの一つが体操というわけだ。

Pepperが体操指導する様子。長谷工グループが運営するライフ&シニアハウス日暮里にて
Pepperが体操指導する様子。長谷工グループが運営するライフ&シニアハウス日暮里にて
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 今回発表したアプリケーションは、長谷工シニアホールディングスが10年の年月をかけて介護予防運動指導員の監修のもと作成した「ゆうゆう体操」という介護予防プログラムを実装したもの。これまでは、ゆうゆう体操を日常的に取り組ませるために指導者の育成に力を入れてきたが、スタッフの指導の質にはばらつきが生じ、事故防止の目配りと指導の両立が困難であるという課題があった。そこで、コミュニケーションロボットの活用で課題解決を狙った。

体操指導はPepperが行うためスタッフは利用者に目を配ることができる
体操指導はPepperが行うためスタッフは利用者に目を配ることができる
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 今回のアプリケ―ションでは、コミュニケーションロボットPepperが、介護予防運動指導員の代わりに体操の仕方や効果を音声と画面の映像を使って説明する。介護スタッフの負担軽減が期待できる。

 9種類の体操メニューに加えて、オリジナルメニューを登録することもできる。さらに、利用者が日々の体操に継続して参加するように、毎日異なる話題を提供してコミュニケーションを図る機能も搭載した。

長谷工シニアホールディングス 代表取締役社長の浦田慶信氏
長谷工シニアホールディングス 代表取締役社長の浦田慶信氏
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 2016年9~10月には、3つの施設でのべ90人を対象に今回の製品の前身となるプログラムの実証実験を行った。その結果、指導員が体操の模範を行った際と同様に、Pepperの掛け声で参加者が正しい姿勢で大きく体を動かせることが確認できたという。さらに、月3~4回行われているプログラムにも関わらず、Pepperが体操を行った期間中の参加者のうち17%の入居者が初めてプログラムに参加したという事実から「Pepperの利用が参加のきっかけになると期待できる」と同社は見る。

長谷工アネシス 執行役員の榑松行雄氏
長谷工アネシス 執行役員の榑松行雄氏
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 発表会に登壇した長谷工シニアホールディングス 代表取締役社長の浦田慶信氏は、「私たちが手掛ける施設だけではなく、同業他社や行政機関にも使ってもらえたら」と語る。長谷工アネシス 執行役員の榑松行雄氏は、「今回の製品に留まらず、マンション管理のためのAI活用や建設現場にドローン導入などこれまでにない商品やサービスを提供したい」と意気込んだ。