【動画】内視鏡の挿入で「オエッ」とえずくmikoto

動画1 内視鏡の挿入で「オエッ」とえずくmikoto(動画提供:テムザック技術研究所)
動画2 経鼻内視鏡の挿入で痛がるmikoto
 開発の背景にあるのは、内視鏡検査を行った患者からの「研修医にやられたから痛かった」という声。患者の苦痛を少しでも抑えつつ、「研修医のスキルアップを図れないかと考えた」と檜山氏は語る。マネキン型のシミュレーターを使って手技のやり方を学んだ後に、mikotoを使って正確性を極めるという使い方を想定している。鳥取大学医学部医学教育学分野准教授の中野俊也氏は、「mikotoの登場でシミュレーション自体のレベルが一段階上がるのではないか」と期待する。

「今のmikotoは“挿入”に主眼が置かれているが、今後は挿入後の検査・診断技術の向上に寄与するようなシステム開発に手を加えていくことになるだろう」と話す鳥取大学の中野俊也氏。
「今のmikotoは“挿入”に主眼が置かれているが、今後は挿入後の検査・診断技術の向上に寄与するようなシステム開発に手を加えていくことになるだろう」と話す鳥取大学の中野俊也氏。
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 咽頭反射によるえずきを再現したことで、「検査中に患者が感じる不快感を十分に考慮しながらシミュレーションを行える」と中野氏は話す。これまでは生体反応を返すシミュレーターがなかったため、傍で見ている指導者が「痛っ」などと声を出して注意を喚起することもあったという。こうした状況を「現実に即した形で再現できるのがmikotoの強み」と中野氏は期待する。

 咽頭部のセンサーにどのくらいの力がかかると反応を返すかは、開発に携わった医師の経験に基づいて設定されている。咽頭反射の強さは個人差があるため、センサーの感度は変えられるようにした。患者の実際の反応により近付けるため、「センサーの種類や位置、閾値については今後検討が必要」と中野氏は話す。一つの方法として、多くの医師に使用してもらい「このくらいの強さでは反射は起きない」などのフィードバックを受けて客観性を追求することが考えられるという。