介護の初心者と熟練者のスキルの違いは、どこにあるのか。情報学や画像認識技術、機械学習などを活用してそれを定量的に評価する――。そうした、EBM(evidence based medicine)ならぬ“EBC(evidence based care)”の時代が訪れようとしている。

講演する本田氏
講演する本田氏
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 高齢者ケアに関して近年、注目を集めている概念に「ユマニチュード(Humanitude)」がある。知覚や感情、言語による包括的なコミュニケーションに基づくケアの技法だ。認知症を患った高齢者では、自らが受けているケアや治療の意味を理解できず、拒絶や暴言、暴力などの行為に訴えるケースが少なくない。そうした高齢者に対してとりわけ有効なケア技法とされる。

 「ITヘルスケア 第10回記念学術大会」(2016年5月21~22日、主催:ITヘルスケア学会)で企画されたシンポジウム「これからの認知症ケアとデータ活用」では、国立病院機構 東京医療センター 総合内科医長の本田美和子氏が登壇。ユマニチュードの概要と実践、その効果について語った。

 本田氏らは最近、ユマニチュードの実践や評価に「情報技術を取り入れる」(同氏)試みに力を入れている。共同研究者として同氏に続いて登壇し講演したのが、静岡大学大学院 総合科学技術研究科 助教の石川翔吾氏と京都大学大学院 情報学研究科 准教授の中澤篤志氏である。