経営危機を受け、優良子会社だった東芝メディカルシステムズを売却した東芝。「エネルギー」「ストレージ」に続く第3の柱とする狙いだった「ヘルスケア」の看板も下ろした(関連記事:幻に終わった、東芝「第3の柱」)。だが同社は今、医療分野で一矢報いるシナリオを描きつつある。得意とするストレージ技術を、次世代医療の情報基盤構築に生かすというものだ。

 東芝は、ストレージ分野のエース人材をこの取り組みに投入している。2000年代半ばに、垂直磁気記録方式のHDD(ハードディスク装置)の実用化開発を主導した田中陽一郎氏(現・東芝 ストレージ&デバイスソリューション社 SSD統括部 技監)、その人だ。現在、次世代医療を支えるデータセンターのアーキテクチャー開発などを担っている。

 田中氏は2016年5月16~17日に東京都内で開催された「第4回岩崎コンファレンス 医工学とビッグデータが拓く医療の未来」(主催:日本磁気学会)に登壇。「次世代メディカルを支えるストレージ技術」と題し、次世代医療を支える情報基盤の要件や、それに応えるストレージ技術について語った。