配車サービス「Uber」の医療版とも言えるサービスが今夏、日本に登場する。医療従事者用チャットサービス「メディライン」を手掛けるシェアメディカル(東京都千代田区)が、2017年8月をめどに提供を始める「スマート往診システム」がそれだ。夜間往診サービスを手掛けるFast DOCTOR(東京都新宿区)と組み、夜間にスマートフォンアプリから医師を自宅に呼べるサービスを開発。まずは東京都23区と千葉県の一部でサービス提供を始め、対応エリアを順次拡大する。

シェアメディカル 代表取締役CEOの峯啓真氏
シェアメディカル 代表取締役CEOの峯啓真氏
[画像のクリックで拡大表示]

 「長い歴史があるにもかかわらず、今では廃(すた)れた医療提供形態と捉えられがちで、その意義が十分に認知されていない往診を“再発明”したい」――。シェアメディカル 代表取締役CEOの峯啓真氏は、スマート往診システムに込める思いをこう話す。同システムでは、往診の依頼から医師のマッチング、カルテ記載、決済までをアプリで完結できるようにする。往診という受診スタイルを、患者にとっても医師にとってもよりカジュアルに利用できるものに変えていくことがその狙いだ。

 「夜間の医療アクセスの悪さを自らの体験からも痛感し、何とか解消したいと考えてきた」と話す峯氏は、スマート往診システムの応用先として夜間診療に着目。かねてメディラインのユーザーであり、代表取締役/医師の菊池亮氏を中心に20名を超える医師による夜間診療サービスを手掛けるFast DOCTORと提携した。

 シェアメディカルが開発するスマート往診システムは(1)患者用アプリ、(2)メディラインと電子カルテの機能を備えた医師用アプリ、という2つの要素から成る。これらをFast DOCTORの夜間往診サービスに導入し、次のような仕組みで動かす。

Uberモデルを往診に(画像提供:シェアメディカル)
Uberモデルを往診に(画像提供:シェアメディカル)
[画像のクリックで拡大表示]

 まず、サービス利用者が患者用アプリに保険証やクレジットカードの情報を登録しておく。急な体調不良などで夜間に医師に診てもらいたいと考えた場合、アプリから往診を依頼。すると、医師用アプリを通じてFast DOCTORの協力医に往診依頼が届き、医師はドライバーが運転する自動車で患者の自宅へ向かう。この間、患者はメディラインのチャット機能を使って症状や対処について医師とやり取りができ、医師の到着予定時刻なども確認できる。