リハビリ部門の核となる訓練内容の記録
業務支援システムの開発をユーザーメードに切り替えたのは、業務にフィットしたシステムを望んだためだという。「看護部門などではパッケージソフトを使っていますが、現場を知らないエンジニアが開発したせいか、使い勝手が悪いというクレームが少なくありません。リハビリ支援パッケージソフトの売り込みもありましたが、カスタマイズや変更依頼を出すと、そのたびに安くない費用と時間がかかります」(東田氏)と、ユーザーメードに踏み切った理由を説明する。
FileMakerで開発することになったきっかけは、前述のように、当初、発注したリハビリ訓練記録システムが同ソフトで開発したものだったことだが、プログラム言語などを理解しなくてもカスタムアプリケーションを構築できるFileMakerの使いやすさを評価した結果でもある。「画面デザインをしながらデータベースを作成でき、しかも日本語でスクリプトを書くことが可能です」(同氏)。
東田氏も開発を手がけた時点では全くの初心者だった。数年にわたって経験を積んでいるが、「FileMakerカンファレンスなどで発表するユーザーの技術には驚愕するばかり。拡張性があり、現場の問題をほとんど解決できる可能性を感じます」と評する。
従来システムをベースに最初に自ら開発した「リハビリ訓練記録システム」は、現場の声を吸収しながら改修を続け、現在では、療法士にとって最も頻繁に使うアプリケーションの1つになっている。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士それぞれが当日担当する患者ごとに、訓練開始時刻、訓練時間などを入力し、実施した内容を記録する。訓練内容のメニューは理学療法と作業療法、言語聴覚療法では異なるので、それぞれ開く画面が異なる。
例えば、理学療法の訓練内容については、歩行訓練や徒手的訓練、ADL訓練、マシントレーニングなどの各訓練作業群に分類された項目それぞれで、実施した内容のチェックボックスを選択(クリック)することで記録できる。テキスト入力は訓練連絡事項ぐらいである。患者さんは20分ごとの訓練を1日、6~9回行う。80人を超える患者さんの記録を作成するには、「訓練記録のスピーディーな入力と作業負荷の軽減は不可欠です」(同氏)という。