患者さんの起床時から就寝前まで、生活動作や運動機能の回復にほとんどの時間が費やされる回復期リハビリテーション病棟。「計画通りに在宅復帰を実現するために、医師を含めた病棟スタッフ全員が情報を共有しながら適切な訓練、ケアを行うことが重要。情報共有や業務効率向上にシステムによるサポートは欠かせません」と強調するのは、小松島病院リハビリテーション部 部長の東田武志氏。同氏がFileMakerで開発したリハビリテーション支援システムを中心とした小松島病院情報管理システムは、回復期医療を担う同病院に不可欠のツールとなっている。

リハビリテーション部部長の東田武志氏
リハビリテーション部部長の東田武志氏

 1987年に開院した徳島県小松島市の小松島病院は、回復期リハビリテーション病棟制度が新設された2000年以降、全92床を回復期リハビリテーション病床に転換した。同市にある徳島赤十字病院を中心とした基幹病院とかかりつけ医との連携により、回復期医療を支えている。毎月60人以上が入退院し、在院日数は40数日までになり、在宅復帰率も90%を超えているという。

 現在は、病棟専任医師3人をはじめ、看護師36人、総勢52人のリハビリテーション専門職(理学療法士33人、作業療法士17人、言語聴覚士2人)、介護士20人が、早朝6時30分のモーニングケア(更衣)に始まり、就寝前まで分刻みのスケジュールでチームケアに務めている。「回復期リハ病棟では、前日に出勤していないスタッフも患者さんの情報を把握しておく必要があり、全職種が情報を共有しつつリハビリに臨むことが重要です」(同氏)と話す。

入院患者のリハビリは分刻みでスケジューリングされている。
入院患者のリハビリは分刻みでスケジューリングされている。
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 東田氏は、リハビリ計画に沿って効果的・効率的に機能回復に導くには、特に病棟生活での過剰な介助を避けなければならないと強調する。更衣や排泄、食事などの生活動作もリハビリの一環。限られた時間に多くの入院患者に対応しなければならず、職員は往々にして時間短縮のために行き過ぎた介助になりがちだという。それを防ぐためには、「日々変化する個々の患者さんのADL(日常生活動作)を全職員が把握して、業務を行うことが重要」(同氏)という。