東京医科歯科大学(TMDU)と日立製作所は2018年4月19日、難病を鑑別診断する仕組みの研究開発に関する連携協定を結んだ。東京医科歯科大の難病に関する知見やデータと日立の医療機器や人工知能(AI)技術などを基に、専門医がいない病院や診療所でも潰瘍性大腸炎やパーキンソン病などの難病を早期発見し、早期介入できることを目標にする。

(左から)東京医科歯科大学の渡辺理事、同 吉澤学長、日立の渡部CEO、同 長我部CSO/CTO
(左から)東京医科歯科大学の渡辺理事、同 吉澤学長、日立の渡部CEO、同 長我部CSO/CTO
[画像のクリックで拡大表示]

 両者の産学連携は、東京医科歯科大が2018年4月1日に新設した「TMDUオープンイノベーション制度」に基づく第1号案件となる。同制度は、企業と東京医科歯科大が共通のビジョン・目標の下で実施する「戦略的」「本格的」「組織的」な連携を推進するもの。研究開発にとどまらず、協働事業、企業側の医療人材の育成、社会実装までの出口戦略を含む包括的な連携制度だという。

 東京医歯大学で開いた記者会見には、同大学 学長の吉澤靖之氏と日立製作所 ヘルスケアビジネスユニットCEOの渡部眞也氏らが出席。吉澤氏は、「日立との連携は従来のような研究開発のみならず、新たな医療ビジネスのヒントになること、医療に携わる社員の人材育成にも貢献できると期待している」と話した。また、難病診断支援の体系化により医療の高度化・効率化を目指すという戦略的目標を掲げたことに対して、「社会的意義のある極めて高いハードルだが、社会の要請に応える事業を推進していきたい」(同氏)とした。

 渡部氏は、連携協定の締結に至る約11カ月の議論の中で、連携を成功させるために東京医科歯科大の総合力と日立の技術力を結集して、戦略的・包括的に推進することが重要という共通認識を得たと説明。「お互いが強みを生かせる分野で総合力、技術力を結集し、世界トップクラスの研究事業を目指していく。出口戦略をしっかり見据え、成果を医療の現場や患者に届けたい」(同氏)と述べた。