「痛いっ」「うえっ」…。胃カメラが咽頭に当たったり、乱暴に処置をしたりすることで、まるで患者に検査をしているかのように声を発する――。

医療シミュレーターロボット「mikoto」マルチタスクモデル
医療シミュレーターロボット「mikoto」マルチタスクモデル
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 そんなシミュレーターロボットが誕生した。それが、テムザック技術研究所と鳥取大学医学部、鳥取大学医学部付属病院が共同開発した「mikoto(ミコト)」だ。2017年3月24日に開催された「“とっとり発!医療機器開発”成果発表会in東京」で披露した。

 今回開発したのは、気管挿管と内視鏡検査、喀痰吸引の3つの挿管手技のシミュレーションができる「マルチタスクモデル」と、気管挿管のみのシミュレーションができる「シングルタスクモデル」である。

 mikotoの特徴は、主に3つ。

テムザック技術研究所 代表取締役社長の檜山康明氏
テムザック技術研究所 代表取締役社長の檜山康明氏
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 (1)外見および内部臓器を人間に近づけたこと。「臨場感を持ってシミュレーションを行えるよう外見を人間そっくりにした」(テムザック技術研究所 代表取締役社長の檜山康明氏)という。鼻腔や口腔、気管、咽喉頭などの内部臓器は、患者の咽頭部のCT画像を使って3Dプリンターで再現した。

 (2)内部にセンサーを搭載することで患者の反射や反応を再現できるようにしたこと。センサーで、各部位にかかる力を測定することによって、検査中のリアルな患者の反応を返すことを可能にした。例えば、喉の敏感なところに内視鏡などが触れると、「うえっ」という声で咽頭反射を再現することができる。

鳥取大学医学部 准教授の中野俊也氏
鳥取大学医学部 准教授の中野俊也氏
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 (3)センサーによってシミュレーションした手技を評価できるようにしたこと。これによって「うまくシミュレーションできたかどうかがわかる」と鳥取大学医学部 准教授の中野俊也氏は話す。評価を受けながら繰り返しトレーニングすることで、手技のレベルを高めることへつなげたい考えだ。