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薬剤部の業務効率化を実現したiPad Proによる薬剤識別・検索システム

ゆうあいホスピタル:FileMakerを利用したユーザーメード医療ITを構築・運用

2016/03/18 16:30
増田 克善=日経デジタルヘルス

新規外来・入院患者の治療を開始する際、他院で処方された「持参薬」を確認することは重要とされる。しかし日々、大量の持参薬鑑別・報告書を作成する薬剤師の業務負担は大きい。そこで、徳島県三好郡みよし町のゆうあいホスピタルでは、FileMakerを基盤としたカスタムApp:薬剤識別支援システム「薬速」を薬剤師自らが開発、運用している。現場の力で開発・試用・評価・改修を重ねながら、“かゆいところに手が届く”使い勝手の良いシステムを実現した。

常務理事 事務部長の中川清氏
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 エントランスを入ると、左手に広がるホテルのロビーのような外来・受付カウンター、右手奥にはガラス張りのレストランとコンビニエンスストア――。経営理念の1つに掲げる「明るく開放的で、地域に貢献する病院」を象徴しているようだ。常務理事の中川清氏は、「精神科病院に対する閉鎖的なイメージを払拭したかった」という。

 ゆうあいホスピタルは、地元医師会の有志によって1958年に開設された。当時は町中から外れた高台にあり、地域のニーズに応じて約10年ごとに増築・増床を行ってきた。2005年に特定医療法人の認可を受け、翌2006年になって現在の東みよし町へ移転した。現在の外来診療科目は精神科、心療内科、内科で、精神療養120床、精神一般100床を有する。道をはさんで関連施設の「グループホーム かもみーる」が建ち、入院患者の社会復帰のための生活訓練施設となっている。

 「高齢者や障害者に対する医療が入院から在宅へとシフトする中、1人でも多く在宅移行できるように、リハビリにも注力するなど、様々な退院支援を実施しています。そうした施策が我々の存在意義だと思っており、地域に必要とされる精神療養環境の提供を心がけています」。中川氏はゆうあいホスピタルの方針をこう述べる。

持参薬管理の業務改善を目的に薬速を開発

薬剤部薬剤科長の木村敦氏
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 ゆうあいホスピタルでは業務効率化のため、2010年頃から医療情報システムの構築を推進してきた。その先導役を担ってきたのが、「医療情報Y’Sプロジェクト」のメンバーだ。同病院には医療情報技師が4人在席しており、その中心が薬剤部薬剤科長の木村敦氏。「私が当院に就任して以来、院内のIT化をユーザーメードで進めようと人材を集め、プロジェクト化してきました」(木村氏)という。

 4人の医療情報技師のうち3人が薬剤部に在席しているため、同部の業務システムから開発がスタートした。その1つがFileMakerプラットフォームを基盤に開発したカスタムApp:薬剤識別・検索システム「薬速」(開発当初はDrug Identification Support System:DISSという名称)である。

 精神科、心療内科の治療では、精神療法や生活療法、社会生活技能訓練、作業療法などとともに薬物療法が大きな比重を占める。このため、新規外来・入院のいずれの場合でも、患者は他院で処方された薬剤(持参薬)を服用し続けていることが多い。高齢者では生活習慣病薬も加わるので、さらに薬剤点数が増える。

 しかも、「ほとんどの患者さんの持参薬は一包化されており、鑑別には非常に手間がかかります」(木村氏)という。「一包化」とは、複数の薬剤が処方されている場合に、服用時点ごとに1袋にまとめて患者に渡すこと。飲み忘れなどを防ぐのに有効だが、箱や包装シートがないため、薬剤自体の色、形状と刻印で判別するしかない。しかし、「自院で採用していない薬剤も多く、一つひとつ調べていると、1人の患者さんの持参薬鑑別に1時間以上かかることもありました」(木村氏)と話す。

 以前は、鑑別した持参薬の一覧をExcelの初歩的な使い方で管理していたが、使い勝手が悪く、結局手書きでリストを作成することが多かった。こうした持参薬鑑別・管理表作成に関わる非効率的な作業を改善したいという要望が、「薬速」開発のきっかけだったと木村氏は振り返る。

日経デジタルヘルス Special

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